日本でもガソリン代がジワジワと上がってきて困っている人も多いでしょうが、ヨーロッパのエネルギー事情はさらに深刻となっております。
ヨーロッパでは、天然ガスの価格が高騰していて、10月6日に一時過去最高値をつけました。いったいなぜ、このようなことになっているのでしょうか?
そして、価格の高騰は天然ガスだけにとどまらず、原油など他のエネルギー価格にも波及しているといいます。このような状況はヨーロッパだけに収まるのでしょうか?
日本でもガス料金やガソリン代、電気代がこの先、さらに上がってしまうのでしょうか?
天然ガス高騰の原因は?
そもそも今、ヨーロッパで天然ガスが値上がりしている原因は何なのでしょうか?
主な要因として言われているのは、
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コロナの渦から経済活動の再開に伴う天然ガス需要の高まり
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風力発電などの再生可能エネルギー発電量が振るわない
などです。日本でもワクチン接種が進み、経済をどのように再開させていくかが検討されていますが、日本よりも接種が早かったヨーロッパでは、先行して経済活動が再開されております。
経済活動すれば、いままで、自粛やロックダウンなどで落ち込んでいたエネルギー需要が急激に回復することになります。
しかし、落ち込んでいたエネルギー需要が元の状態に戻るだけなので、これだけでは、なんで天然ガスの価格がこんなに上昇するのかは疑問です。
そこで問題になるのが、風力などの再生可能エネルギーの発電不調です。日本では太陽光発電がかなり普及していますが、ヨーロッパで普及している再生可能エネルギーといえば、風力となります。
それが今年は風向きなどにより、思うように発電量が伸びない状況になっているといいます。再エネの発電不調を補うため、ヨーロッパでは天然ガスによる火力発電の需要が伸びているということです。
そのため天然ガスの価格が高騰して、それに伴って電気代も上昇し、企業活動などに影響が出ているといいます。アンモニアは天然ガスから生成されていますが、肥料会社はアンモニア肥料の生産ができなくなっております。
中国が天然ガスを買い増し?
天然ガス高騰の主な2つの要因を上げましたが、中国が2021年に日本を抜いて世界最大の液化天然ガス(LNG)輸入国になるとの見通しが出ているそうですが、中国の天然ガス需要増加も、天然ガス価格の高騰に影響しているようです。
最近では、石炭不足による停電も問題になってますが、それを補うためにも天然ガスを買い増ししているといいます。
緑の党(ドイツ)「価格高騰はプーチンのせい」?
脱原発、再エネ推進が進み、よくお手本とされるドイツであるが、こちらも電気代の高騰に困っています。
ドイツでは緑の党が躍進しているが、党首の一人のアナレーナ・ベアボック氏によれば、
「ガス価格の高騰はプーチン大統領の恐喝である。このままでは、冬に国民が凍えることになりかねないため、ロシアが契約通りガスを輸出するようドイツ政府が介入すべき」
ということだ。しかし、在独ロシア大使によれば、ロシアはヨーロッパとの契約はすべて履行しているばかりか、現在の輸出量は去年の水準より40%増しで、契約量を上回っているという。
実際にそのとおりのようであり、価格高騰はロシアのせいというのは、ちょっと苦しそうだ。
日本のエネルギーには影響しないの?
ヨーロッパで過去最高値をつけるほど、天然ガスの価格が上昇しているのに日本やアメリカには影響はないのでしょうか?
まずはアメリカですが、自国で天然ガスを生産して、自給自足できるため、他国での天然ガス高騰の影響は受けにくいという事情があります。
また日本ですが、天然ガスの購入契約が比較的長期で行われているので、短期の価格変動の影響は受けにくいということです。
とはいっても、今のままの高い水準の状態が続くと、日本の天然ガス購入価格にも影響が出てきて、それが電気代となって、我々にも大きくのしかかっていくことになります。
再エネ一辺倒の流れはやはり危険?
自民党総裁選の候補者も述べておりましたが、日本は石炭や天然ガスによる発電を順次止めていって、脱原発も同時に進めていく必要があるという考えが広がっております。
これは、火力も原発も使わないということは、つまり再生可能エネルギー100%にしていくということになります。
さすがにこれはやや極端な例かも知れませんが、とにかく再エネの比率を増やしていかなければならないという考え方は、日本でもかなり広がっているように感じます。
しかし、現在ヨーロッパで起こっている現象は、やはり再エネは安定性がなく、過度に依存しすぎるのは現状では危険ではないのかと考えさせられます。
まとめ
ヨーロッパで天然ガスが高騰しており、それに伴って電力料金が上昇していることをお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
現状では日本はまだ大丈夫ですが、この先、影響が出てくる可能性も十分にあるといえます。
再生可能エネルギーは、燃料を海外から調達する必要がないので、資源の少ない日本にとっては欠かせない期待のエネルギー源であることは確かですが、天候に左右されるため、人的に発電量をコントロールできないという欠点があります。
将来的には、蓄電池などの技術が発展して、再生可能エネルギーの安定性の問題は解消されていくかも知れませんが、現在ではまだまだ技術が追いついているとは言えません。
原子力は、安全性を重視した小型の原子炉が開発競争しておりますし、石炭においても、排出ガスを地下に閉じ込めるなどのクリーン化研究が進められております。
これらを悪ということで排除して、再エネ一辺倒を目指していく流れを、冷静に考えて見る必要があるかもしれません。
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