岸田首相がインドへの5兆円投資を表明しましたが、その報道を受けてネットでは怒りの声があがりました。
怒りの主な理由は、日本が新型コロナやガソリン代高騰で困っていて、もっと財政出動してほしいのに、インドに5兆円もあっさり出してしまうのはどういうことなんだ? という感じです。
ですが、この件に関してはもう少し冷静に考えるべきという声も一部あります。これよって日本は大損してしまうのでしょうか? そのへんについて解説していきたいと思います。
インドへの5兆円投資にどんな怒りの声?
次のようなインドへの5兆円投資のニュースが流れて一部の人達が怒りの声をあげています。
岸田文雄首相は19日(日本時間同)、インドのニューデリーでモディ首相と会談した。ロシア軍の侵攻を受けているウクライナ情勢について意見交換。国際法に基づいて紛争の平和的解決を求める必要があるとの認識で一致した。首脳共同声明では、ウクライナの紛争と人道危機に深刻な懸念を示し、戦闘の即時停止を求めた。岸田首相は、日本が今後5年間で官民合わせて5兆円をインドに投資する目標を掲げると表明した。(ヤフーニュース)
このニュースを見てネットでは次のように怒りの声が多数上がりました。
確かに新型コロナで経済が疲弊し、ガソリン価格も高騰している今、海外にお金を使うのは何事だと国民が考えるのは自然の摂理だと思います。
ただ、勘違いしてはいけないのは、これは5兆円を渡して好きに使っていいよというわけではなく、投資だということです。しかも聞いたことがあるかもしれませんが、円借款(えんしゃっかん)です。
円借款というは、低金利かつ長期の緩やかな条件で開発資金を貸し付けることで、開発途上国の発展への取り組みを支援することです。貸付なのでお金は当然戻ってきます。
円借款は使用用途も限られてくるため、一部の人が怒っているように、これでインドがロシアから原油やガスを買うことはありませんので、そのへんはご安心ください。
円借款のメリットとは?
円借款の際には、見返りとして多くの日本企業が開発工事を受注するのが一般的です。これによってインド政府が借りたお金が、日本企業に支払われることになります。
日本企業が儲かれば、日本経済の発展、税収アップが期待できますね。つまり円借款は日本にとってもメリットが大きいのです。ただ、相手国が財政難になってお金を返せなくなるリスクはあります。
そして、相手国にも恩を売ることができるし、これで経済成長することができれば、新たな市場として企業が稼ぐことができます。とはいっても、円借款を受けてもあまりというか全く恩を感じない国もあるようですが・・・。
日本はドルがダブついている?
円借款は、かつては日本円を貸し付けていましたが、今ではドルで貸すことも可能となりました。
日本政府はドルを始めとする外貨準備が150兆円以上も積み上がっています。この外貨準備は投資ファンドなどから円売りの攻撃などをうけたときに、円を買い支えて防衛するために準備されているものですが、いくらなんでもこんなに必要はありません。
外貨準備高を海外と比較すると
- 日本:1兆2593億0000万ドル(2018年)
- ドイツ:2003億1200万ドル(2017年)
- イギリス:1642億1000万ドル(2018年)
- アメリカ:1252億3800万ドル(2018年)
であり、いかに日本の外貨準備高が異常であるかがわかります。日本より唯一、外貨準備高が多い国が中国ですが、中国の発表している数字は全く信用ができません。
つまり、円借款はダブついている外貨準備を消費するチャンスでもあるのです。
もうひとつの外貨準備の使いみちとは?
もっとも、現状では円安が進行して120円を超えているので、この外貨準備で円買いをして円高誘導するのも有りかと思うかもしれません。しかも調達した円を国内で財政出動すれば、新型コロナやガソリン高で困っている多くの国民を助けることができます。
こういった為替操作は逆にドル買いをするとアメリカが怒りますが、円買いなら特にお咎めはないはずです。ドル買いでアメリカが怒る理由は円安誘導すると、トヨタなど日本の輸出企業が儲かってアメリカの輸出企業が損をするからです。
今のタイミングで円買いをして、そのお金で財政出動するのは、ダブついているドルを消費できてすばらしい政策に感じますが、実際は財務省が嫌がっているようなので、実現は難しいと思われます。
まとめ
岸田首相がインドへの5兆円投資表明のニュースが報道されて、怒りの声があがっていますが、これはイメージするよりも実は悪いニュースではないということがわかっていただけたでしょうか。
インドは重要な国であって、この国が経済発展すれば困るのは仲の悪い隣国である中国です。
ロシアがウクライナへの侵略をしましたが、中国もいつ台湾や尖閣諸島に侵略してくるか、わからない状況です。もっとも中国からしてみれば、このどちらも中国領なので、侵略ではなく単なる内政問題とでも言うのでしょう。
現状では日本企業は中国にかなり進出していますが、もしそのような侵略が行われたら、とてつもない被害を受けることになるでしょう。そのため、インドに投資して日本企業が中国からインドにシフトする環境を整えることが求められております。
日本でもかなりの問題を抱えているのに、外国を支援かよとカッとなる気持ちもわかりますが、こういった海外投資のニュースは少し冷静に見てみてもよいと思います。
コメント
日本のお金を日本の国防費に使う時です。
国内企業の仕事が増え、従業員の給料も上がり、自衛隊への環境が良く成れば入隊する人も増えるかも知れない。GDPも上がり、国内活性に間違いありません。
兎に角、有り余ったお金を国内で循環するべきです。
海外への出資は、その国の方針でいつ変更するかも分からない。又、日本企業が海外で仕事をするデメリットも大きい。政府は外へばかり目を向けないで日本国内を活性する事を考えるべきです。