福島第1原発で発生し続けている汚染水の浄化後の水(処理水)が増え続けています。
このままだと2022年にはタンクが満杯になるということでしたが、ついに政府が決断をしました。日本経済新聞より、
政府は13日、東京電力福島第1原子力発電所の敷地内にたまる処理水を海洋放出の形で処分すると決めた。2年後をめどに実施する。大量のタンクが廃炉作業の妨げになりかねない状況だった。海水のモニタリングや農水産業の風評被害対策を強化する。(日本経済新聞)
このニュースに対して賛否両論が飛び交って、世間をざわめかしております。
処理水の海洋放出の何が問題なの?
処理水の海洋放出でで何が問題なのかと言うと、放射能汚染水から放射性物質を除去しても、どうしてもトリチウムという放射性物質だけは取り除くことができないからです。
放射性物質を含んだ水を海に放出することで、海が汚染されるのではないかと心配している人たちがいて問題になっております。
ですが下記の以前の記事で紹介しておりますが、トリチウムは自然界の水や水道水にも含まれており、我々は避けて通ることの出来ない放射性物質です。
我々は普段放射線を浴びている?
そもそも、大気中には放射線が絶えず飛び交っており、我々は普段からそれを浴び続けております。
理科の授業のとき、先生が放射線を検知して音がなる装置を動かしていましたが、数秒おきにピーピー音が鳴っていたのを覚えております。
だからといって放射線に危険性がないというわけではなく、あくまで短時間で大量に浴びてしまうと危ないということです。
ラジウム温泉とかに入って好んで放射線を浴びる人もいますね。これはむしろ健康促進を期待しているわけであって、これによって何かの健康被害が起きたという話は今まで聞いたことがありません。
いや、外部被曝と内部被曝は違うと言うかも知れませんが、トリチウムは絶対に体内に入れてはいけないというのなら、我々は水分を取ることができなくなってしまいますね。
世界中の原発からトリチウム水が海洋放出されている?
そもそも、トリチウム水というのは原子力発電所があれば、必ず発生するものです。
原発で生成されたトリチウム水は昔から普通に海洋放出しております。原発大国のフランスが特に多いですが、これによってなにか問題が起きたとは聞かないですね。
また、中国や韓国が今回の海洋放出に対して抗議をしてきておりますが、これらの国でも普通にトリチウム水の海洋放出が行われております。
北朝鮮も何やら抗議してきたようですが、核実験で大気中に放射性物質をばら撒いているくせに何を言ってるんだといった感じですね。
漁業関係者が反対する理由とは?
漁業関係者が処理水の海洋放出に反対の立場をとっておりますが、彼らが何を恐れているかと言うと、風評被害で福島の海産物が売れなくなってしまうことです。
彼らもトリチウムなどの説明は十分に受けているようで、危険性自体は特にないことは知っているようです。
たまり続ける処理水の問題はもはや待ったなしであり、海洋放出は避けては通ることはできません。我々やメディアが今しなければいけないことは、できる限り風評被害が広がらないようにして漁業関係者を困らせないことですね。
マスコミや国会議員が風評被害を煽って炎上?
風評被害を広げてはいけないと思いますが、逆に問題を大きくしたい人たちもいるようです。
「NHK WORLD News」が炎上
こんな中、「NHK WORLD News」が次のようなツイートをして炎上しました。
問題となっている箇所は「radioactive water」であり、これはそのままの意味で捉えると放射性汚染水ということになります。
これでは海外に向かって、「日本が汚染水を海にばらまこうとしている」と発信しているようなものじゃないかということで反感を買いました。
確かに海外が誤った解釈をして日本の海産物の輸入を停止することにでもなれば、風評被害の拡大になってしまいます。
NHKはこの後、「radioactive water」の部分を「treated water(処理された水)」に差し替えるなどしましたが、前田会長が国会に呼び出される事態まで発展しました。
国会議員が炎上
立憲民主党の原口議員がツイッターで次のような発信をして炎上しました。
「nuclear waste」は核廃棄物という意味であり、「nuclear radiation」は核の放射線という意味です。そもそも日本の国会議員が英語で発信する意味がよくわからりませんが、これは国民ではなく海外に向けて発信していると考えられます。
原口議員はその後、謝罪してこのツイッターを削除しましたが、「どこが問題なのか履き違えている。」など、またもや炎上しております。
社民党の福島瑞穂議員も、海洋放出の決定がされたときに早々と次のようなツイートをしておりました。
菅政権は東電福島原発の汚染水を海洋放出することを決定した。海に放出すれば放出された放射性物質をもう戻すことも管理することもできない。福島県の自治体の多くも反対。全漁連も反対。海を汚さないでほしい。強く抗議をする。
— 福島みずほ 参議院議員 社民党党首 (@mizuhofukushima) April 12, 2021
こちらの方は原口議員のようには炎上していなかったように見えます。彼女がこのようなことを言うのは当たり前だと思われているのかも知れません。また、「いいね」が4千近くついており、同じように考えている人が結構多いことがわかります。
まとめ
処理水の海洋放出について語ってきましたが、いかがでしたでしょうか。
以前の世論調査では「海洋排出反対」のほうが多数だったと記憶しておりますが、最近では正確な情報が国民にも浸透してきたのか、「海洋放出賛成」のほうが多数派になってきております。
よく、処理水が安全と言うなら飲んでみろといった声を聞きますが、これはどうなのでしょうか。確かに福島の処理水は飲料水の基準をクリアするものなので飲めないことはないのですが、下水処理水も海や川に放出されているのはご存知でしょうか?
これを海洋放出できるほど安全なら飲んでみろと言われたら、飲みたいでしょうか?
もっとも、下水処理水は飲料水の基準を満たしているわけではないでしょうし、そのままでは飲めないでしょうね。
でも、薄めたら飲料水の基準をいつかは満たすと思います。でも、飲めるからといってこんなものは飲みたくありませんよね。
福島の処理水については、意外と飲んでみたいという声も聞こえてきます。もしかしたら、商品として売り出したら、案外売れるかも知れませんね。
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