イチローさんが引退記者会見で「行ったり来たり」という発言の時に「ん?何かおかしなこと言ってます?」とつぶやいた時にどう思われましたか?
一見あっているような気がするのですがあの時は「あと一言」足りない部分があったので、文章が成立しにくくなっていました。正しくはどう使えば良かったのでしょうか?
今回は、良く使う「行ったり来たり」の意味や正しい使い方をご紹介します。間違った使い方をしたりしていないか確認してみましょう。ん?直前の文章には誤りがありますよ。お気づきになりましたか?
行ったり来たりの意味と正しい使い方!そして日本語の法則とは?
行ったり来たりは日常会話で頻繁に使う言葉なので意味や正しい使い方を確認してみましょう。この行ったり来たりには日本語の大事な法則が含まれています。それもご説明します。
Weblioによると行ったり来たりの意味は
- ある場所から別の場所に移動し、再び戻る
- 特定の進路を行ったり来たりする
- しきりにその場から放れたり、また戻って来たりすること
- 事情が複雑で、物事が順調に進まないこと
となっています。例えば、慌ただしい日に家と会社を「行ったり来たりする」やアメンボが水ぎわを「行ったり来たりする」などのように使っていると思います。
また「―たり―たり」と「たり」を繰り返し使っています。これは日本語の中でつい忘れがちな法則です。実は大事な法則が隠されています。
「たり」は並列助詞といって2回以上繰り返して使うのが正しい使い方です。以前に「今日はたくさん楽器を触って音を聞いたりしてみましょう。」と保育士が園児に対して言っていたことがありました。この保育士の発言には「たり」が1度しか使われていません。言いたい内容は
- たくさんの楽器を触る
- だからたくさんの音を聞こう
- 楽器を触ることや聞く動作がある
これらのことは何となくイメージできてしまい、誤った文章でも理解してしまっています。しかし「たり」を使う時には繰り返すのが正しい使い方なので今回の場合は
「今日はたくさんの楽器を触ったり、その音を聞いたりしましょう。」
と言うべきでした。大人であっても必ずしも正しく使えていない日本語ですが、これからを担う子供の前では正しい日本語を意識して使いたいものです。
イチローさんの行ったり来たりの使い方は本当に間違っていたのか?
イチローさんの引退会見で行ったり来たりと発言した後に「使い方が間違っていないか」という質問を記者に投げかけた場面は、会見をご覧になられた方は記憶にあると思います。本当に間違った使い方をしていたのでしょうか?
イチローさんの発言は何となく合っている!
大人だと会話を勝手に頭で整理してしまうので言っている意味が理解できてしまいます。そもそもスル―してしまう場面でした。しかし、何が違ったのでしょうか?イチローさんは
「一軍に行ったり来たり」と発言していたのが誤り!
譲歩したとして…もしもこの文章で「一軍に」と言わなければ意味は伝わりました。しかし「一軍に行ったり来たり」と言ってしまったことが誤った使い方になってしまいました。
正しくは「一軍と二軍を行ったり来たり」と言えば、先述の意味の①にあたるある場所から別の場所への移動と再び戻っていたことが表現できたのです。若干…あと一言足りなかっただけなのです。
まとめ
たまたまイチローさんが会見で行ったり来たりの言葉にひっかかって、あえて「何か変なこと言ってます?」と発言した為に、あらためてその意味を考えることになりました。
今回、行ったり来たりの意味やイチローさんが若干だけ間違った使い方をしていたことが分かりました。このように日本語を正しく使えていないことは良くあります。
「何々の矢先(やさき)」という表現を例にすると矢先は「何かをする直前」という意味なので過去形の文章には使用できません。
例えば「転んだ矢先に…」という表現だと「転んだという過去の事」の矢先となってしまい誤った使い方になります。冒頭の誤りについてはもう分かりましたね。
「間違った使い方をしたりしていないか…」ではなく「間違った使い方をしていないか…」が正しい使い方です。正しい使い方をわかっていて省略した文章を使うのなら良いのですが、正しい日本語を使って後世に残して行きたいですね。
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