地域によっては若干日程が違うお盆。一般的には8月15日がお盆とされ、祖先の霊が子孫のもとを訪ねて来る日として、祖先を家に迎える準備などをしています。
「お盆」の「盆」とは本来は霊に対する供物を置く容器を意味していました。いつしか祀る行事として「盆」と呼ばれるようになりました。
そのお供え物として思い浮かぶのが、きゅうりとなすですね。お盆の風景に必ずあるきゅうりとなすには、実は、きちんと由来があります。
何となく本家だから…とお供えしているだけかもしれませんが由来がわかると、儀式としてではなく興味をもちながら楽しく準備が進められますよ。では、さっそくご紹介します。
お盆にきゅうりとなす!可愛い由来は動物が関係ある!
由来にはまず、きゅうりとなすの姿をイメージしてほしいので…その姿は?
マッチ棒や折った割りばし(長いので半分に折る)を足に見立てて、きゅうりに4本差し込みます。
すると…馬や牛に見立てられる!
野菜に割りばしを刺すなんて、何てことするの!と思っていましたが、動物に見立てていたのですね。その状態で仏壇周りや精霊棚などにお供えされます。
お盆にきゅうりとなすが動物になった姿にはユニークな由来があった!
前章のように動物に見立てられたきゅうりとなすは精霊馬(しょうりょううま)と呼ばれます。つまり…
きゅうりとなすはご先祖様の乗り物になるのです。そしてお盆に関係した面白いきゅうりとなすそれぞれの由来があります。
<きゅうり>
足が速い馬をイメージして…あの世から早く家に戻ってくるように!
<なす>
足が遅い牛をイメージして…あの世に帰るのが少しでもゆっくりと遅くなるように!そして供え物をのせて持ち帰ってもらう!
という願いが込められていたのです。その為、きゅうりとなすを同時にお供えするのではなく、なすを少し後からお供えする地方もあります。
そもそも馬は古い時代には早い乗り物とされていました。今ではお坊さんも車で出かける時代です。時代の変化で何かもっと早い乗り物があるかもしれませんね。
それにしても、とても可愛い由来にまつわる姿ですね。
お盆には、きゅうりとなすを飾る向きも大切だった!
きゅうりとなすを飾る向きも大切です。えっ?向きも関係しているの?そこは気にしていなかったという人もいることでしょう。
<飾り方>
- ヘタがある方を頭とイメージ
- きゅうりとなすを別の向きにする
なるほど…帰ってくる方角と戻っていく方角ということですね。更に記憶しやすい面白い由来ですね。
なぜお盆は、きゅうりとなすだったの?他の野菜は?
きゅうりとなす以外の他の野菜は使用しないのでしょうか。答えは諸説あります。行事ごとに良く使われていた稲穂ですが、刺すことができません。収穫が多いジャガイモは固いので茹でないといけません。
その為、きゅうりとなすは手軽に手に入る夏の野菜で選ばれたのではないかと言われています。また、夏に収穫できた野菜を先祖様へ感謝の意味も込めてお供えしたとも言われています。
面白いのはお盆などの行事は地域性が大きく、沖縄では祖先があの世に帰るときにはさとうきびを杖にすることもあります。
お盆のきゅうりとなすはお供え後はどう処分する?
お盆が終わった後、きゅうりとなすはどう処分すればよいのでしょうか。
- お盆期間中はずっとお供えしておきます。
- 食べられれば食べてもよい。
- しかし…傷んでいることが多いです。川などに流すか土に埋めます。
地域の条例などもあり流すことが出来ないこともあり、ごみとして出すことも多くなりました。気持ちが進まない場合には塩で清めて包んで捨てると良いです。
まとめ
お盆にきゅうりとなすを飾る由来についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
単に、昔のお供え物が選べない時代の工夫かと思っていましたが、お盆にきゅうりとなすを飾るのには、子供達にも教えたくなるぐらい面白い意味がありました。
あの世から馬に乗ってくる?牛で帰る?イメージしてみると、祖先の方たちは皆、お元気で、さっそうと馬でかけつける程に楽しく暮らしているような気がしてきます。
夏の旬には、とうもろこしもありますが、硬いため刺すことができませんでした。ところが近年はゆでたとうもろこしで鮮やかな黄色のお供え物を作ることもあります。
もう、由来など関係なく楽しんでいるのかもしれません。由来や伝統を守ることも大切ですが、現代風に楽しみながら行事を守っていくのも大切だと思います。何より苦にならないよう、今回の記事を読んで、微笑みながらお盆のお供え物を準備して頂けたら幸いです。
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