次の記事を学習してください。子どもが熱を出して病院に連れて行ったのに、うっかり保険証を忘れてしまった経験はありませんか?そんなとき、窓口で医療費を全額支払うことになって、「え、こんなにかかるの?」と焦ってしまったことがある方もいるかもしれません。
実は、そのお金は後から申請することで、かなりの部分を取り戻せることがほとんどです。でも、「申請?書類?なんか難しそう…」と感じて、そのままにしてしまっている方がとても多いのが現実です。
健康保険の給付制度は、医療費の払い戻しだけではありません。病気やケガで働けなくなったとき、出産のとき、さらには家族が亡くなったときにも、現金の給付を受け取ることができます。その代表的なものだけでも、今回ご紹介する6つがあります。
この記事では、健康保険の代表的な現金給付の種類と申請方法を、できるだけわかりやすく解説していきます。手続きといっても、思っているほど難しくはありません。読み終わる頃には、「こんな制度があったなら、もっと早く知りたかった!」ときっと感じていただけると思います。最後までぜひお付き合いください。
健康保険の現金給付、こんなにあるって知ってましたか?
健康保険の給付と聞くと、「病院での3割負担のこと?」と思う方が多いかもしれません。確かにそれも大切な仕組みですが、実はそれ以外にも、知らないと損してしまうさまざまな現金給付制度があります。
しかも、これらの給付は自動的には受け取れません。自分で申請をしなければ、もらえないままになってしまいます。さらに重要な注意点が一つあります。健康保険の給付には原則として2年の時効があります。給付を受ける権利が発生した翌日から2年を過ぎると、申請できなくなってしまいます。「あとでいいか」と後回しにせず、なるべく早めに申請することを心がけましょう。
まずは、どんな場面で給付が受けられるのか、代表的な3つのケースから見ていきましょう。
旅行中に保険証を忘れた!その医療費は戻ってくる?(療養費)
家族旅行の最中に子どもが急にお腹を痛がって、近くの病院へ駆け込んだ。でも財布を見たら保険証がない…。そんな経験、意外と多くのママがしていませんか?
このような場合、窓口で医療費を全額支払うことになります。でも、後から申請することで、かかった費用の一部を取り戻すことができます。これを「療養費の支給」といいます。申請には「療養費支給申請書」が必要です。
療養費の対象になるのは、保険証を忘れた場合だけではありません。具体的には次のようなケースが含まれます。医師の指示で装着したコルセットや治療用装具の費用、医師の同意を得てはり・きゅう・マッサージを受けた費用、海外旅行中や海外赴任中に現地の病院で支払った医療費(海外療養費)、輸血のための生血液の費用なども対象になります。「どうせ戻ってこないだろう」と諦めていたお金が、実は申請すれば取り戻せるかもしれないのです。
あると安心な「保険証忘れ」対策アイテム
旅行や帰省のバタバタで保険証を忘れがちな方は、母子手帳や診察券をまとめられる「お薬手帳ケース(通院ケース)」があると安心です。受診時に必要なものを一括管理でき、いざという時の探し物が減ります。
入院したら医療費が高すぎた!高額療養費制度を使おう
子どもや家族が入院することになって、請求書を見てびっくりした経験はありますか?医療費が思っていたよりずっと高くて、「これ、ちゃんと払えるだろうか」と不安になることもありますよね。
そんな時に使えるのが「高額療養費制度」です。同じ月(1日から末日)の医療費の自己負担額が一定の上限(自己負担限度額)を超えた場合に、超えた分を給付してもらえる制度です。自己負担限度額は所得によって5段階に分かれています。
例えば、月収が28万円から50万円程度の方(標準報酬月額28万〜50万円)が対象となる区分では、自己負担限度額は「80,100円+(医療費総額−267,000円)×1%」という計算式で算出されます。医療費総額が100万円かかった場合を例にすると、80,100円+(1,000,000円−267,000円)×1%=87,430円が自己負担の上限となります。それを超えた分は給付されます。申請には「高額療養費支給申請書」が必要です。
限度額適用認定証を使えば窓口負担がグッと楽になる
「一度全額払ってから申請するのは、やっぱり大変…」と感じる方には、「限度額適用認定証」の活用がおすすめです。事前に加入している保険協会や健康保険組合に申請することで発行してもらえるカードのようなもので、医療機関の窓口に提示するだけで、最初から自己負担限度額までの支払いで済むようになります。
入院が決まったタイミングや、高額な治療が予定されているときは、できるだけ早く限度額適用認定証の申請をしておきましょう。一時的に大きなお金を用意する必要がなくなるので、家計への負担をずっと抑えられますよ。
入院時の書類管理がラクになるアイテム
高額療養費や限度額適用認定証は、申請書や領収書など紙が増えがちです。A4が入る「ドキュメントファイル(じゃばらファイル)」にまとめておくと、提出漏れや紛失を防ぎやすくなります。
病気やケガで働けない、そんな時の傷病手当金
仕事をしながら子育てをしているママはたくさんいます。そんな中で、自分が病気やケガで長期間仕事を休まなければならなくなったら、家計への影響がとても心配ですよね。
健康保険には、そんな時のための「傷病手当金」という給付があります。傷病手当金は、雇用保険の失業給付とは別のものです。仕事を失った時ではなく、働いている状態で病気やケガのために仕事を休んでいる時に受け取れる給付です。
主な条件は次のとおりです。仕事を連続して4日以上休んだこと(最初の3日間は「待期」として対象外)、その休んでいる間に会社から給料が出ていないこと(または傷病手当金より少ない額しか出ていないこと)、といった点です。
支給される金額は、「支給開始日以前の継続した12か月間の標準報酬月額の平均額÷30日×3分の2」が1日あたりの支給額の目安になります。わかりやすく言うと、休む前のおおよその給料の3分の2程度が受け取れるイメージです。また、支給期間は支給開始日から通算して最長1年6か月です。長引く療養でも一定期間はサポートしてもらえるので、焦らず治療に専念できますよ。申請には「傷病手当金支給申請書」が必要で、医師の証明が求められます。
自宅療養を少しでも快適にするアイテム
傷病手当金の対象になるほど体調が悪い時は、休養の質が大切です。体圧分散タイプの「低反発枕」や「抱き枕」があると、寝姿勢が安定しやすく、休む時間を確保しやすくなります。
出産・死亡時にも給付あり!見落としがちな健康保険の制度
健康保険の現金給付は、病気やケガの時だけではありません。出産や、家族が亡くなった時にも、給付を受け取れる制度があります。子育て中のママにとって特に身近なのが出産に関する給付です。ここではさらに3つのケースを見ていきましょう。
赤ちゃんが生まれたら50万円!出産育児一時金とは
赤ちゃんが生まれた時の入院費は、びっくりするほど高いですよね。普通分娩で1週間ほど入院すると、50万円以上かかることも珍しくありません。そんな時に大きな助けになるのが「出産育児一時金」です。
2023年4月からの改正により、健康保険から1人の赤ちゃんにつき50万円が支給されるようになりました(産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産した場合は48.8万円)。ふたごや三つ子の場合は、人数分が支給されます。申請には「出産育児一時金支給申請書」が必要です。
この給付は、産院の窓口でそのまま費用に充ててもらえる「直接支払制度」を活用することも可能です。自分で一度全額支払って後から申請するよりも、手続きがずっと楽になります。まず産院のスタッフに確認してみましょう。
入院準備と書類をまとめて管理できるアイテム
出産前後は書類や診察券、領収書が一気に増えます。母子手帳も入る「母子手帳ケース(Lサイズ)」を用意しておくと、健診から入院まで必要なものをひとまとめにできて安心です。
産休中のお金が心配なママへ、出産手当金の仕組みを知ろう
「産休中は給料が出ないから、生活費が不安…」と感じたことはありませんか?働くママにとって、産前産後の休業期間の収入の問題は、とても現実的な悩みです。
そんな時に使える制度が「出産手当金」です。これは、出産のために会社を休んでいる期間のうち、給料が出ない期間に対して給付されるものです。有給休暇を使って給料が出ている期間は残念ながら対象外になります。申請には「出産手当金支給申請書」が必要です。
ここで注意してほしいのが、育児休業中にもらえる「育児休業給付金」との違いです。出産手当金は健康保険からの給付で、産前42日・産後56日の産前産後休暇の期間が対象です。一方、育児休業給付金は雇用保険からの給付で、産後休暇が終わった後の育児休業期間に適用されます。似ているようで別々の制度なので、混同しないように気をつけましょう。
申請書の記入ミスを減らすアイテム
出産手当金は会社や医療機関の記入欄もあり、書き直しが発生すると手間が増えます。消せる「フリクションボールペン」や、訂正印にも使える「ネーム印」があると準備がスムーズです。
家族が亡くなった時の埋葬料・埋葬費と移送費
あまり考えたくないことですが、突然家族を亡くしてしまった時にも、健康保険から給付を受け取ることができます。ここでは、「埋葬料」と「埋葬費」の2種類があることをぜひ覚えておいてください。
まず、健康保険の被保険者本人(会社員など、保険に加入している本人)が亡くなった場合には、その遺族(家族など)に「埋葬料」として一律5万円が支給されます。申請には「埋葬料支給申請書」が必要です。
一方、健康保険の被保険者に扶養されていた家族(被扶養者)が亡くなった場合は、被保険者本人に「家族埋葬料」として同じく5万円が支給されます。また、身近に遺族がいないなどの理由で実際に埋葬を行った人が被保険者以外の場合は「埋葬費」として、実際にかかった費用(上限5万円)が支給されます。名前が似ていてまぎらわしいですが、誰が亡くなって誰が申請するかによって制度が異なるので、確認しながら手続きを進めましょう。
また、病気やケガで歩くことが難しい状態の人が、医師の指示によって別の病院へ搬送された場合には「移送費」が給付されます。かかった費用の実費が対象になります。申請には「移送費支給申請書」が必要です。こうした給付は意外と知られていないので、頭の片隅に入れておくと、いざという時に役立ちます。
いざという時の手続きを支えるアイテム
埋葬料や移送費の申請は、領収書や書類の保管が重要です。耐水性の「クリアファイル」や、まとめて保管できる「領収書ファイル」を用意しておくと、後から探す負担が減ります。
給付を受けるための申請方法、流れをわかりやすく解説
ここまで、健康保険の代表的な現金給付についてお伝えしてきました。「なるほど、こんなにあるんだ」と感じていただけましたか?でも、「申請ってどうすればいいの?」という疑問が浮かんでいる方も多いはずです。ここでは、申請の具体的な流れと方法を解説していきます。
申請書はどこでもらえる?手続きの全体像
給付の種類によって、それぞれ違う申請書が必要です。焦らず、自分が加入している保険協会のホームページを確認することから始めましょう。多くの保険協会では、申請書をホームページからダウンロードできるようになっています。勤務先に用紙が準備されている場合もあるので、職場の総務や労務担当の方に確認してみるのもおすすめです。
申請の大まかな流れは次のとおりです。まず、給付の対象となる出来事が起きたら、一旦自己負担で支払いをします。その後、申請書を手に入れて、医療費の明細などを記入します。完成したら、加入している保険協会に提出します。提出先は直接の場合と、勤務先を経由する場合があります。保険証に保険協会の住所や支部名が記載されているので確認してみてください。
記入自体は、思ったよりも難しくありません。医療機関名や支払った金額など、基本的には患者自身がわかる情報を書くだけです。不明な点は保険協会が医療機関に問い合わせてくれるので、安心して申請できますよ。
申請作業を時短するアイテム
申請書の記入やコピー、郵送準備は意外と時間がかかります。自宅に「家庭用プリンター(複合機)」があると、申請書の印刷や領収書のコピーが一度で済み、忙しい時ほど助かります。
申請から振り込みまでどのくらいかかる?
申請書を提出してから給付金が振り込まれるまで、どのくらい時間がかかるのかも気になりますよね。目安としては、3か月程度かかると考えておいてください。急いでいるからといって短縮できるものではないので、余裕を持って申請するのが大切です。
そして改めて強調しておきたいのが、給付には原則2年の時効があるという点です。例えば、医療費を支払った日の翌日が時効の起算日になります。「いつかやろう」と思っているうちに時間が経ってしまい、気がついたら申請できなくなっていた、という残念なケースもあります。思い立ったらすぐに動くのが鉄則です。
限度額適用認定証と事前申請で窓口負担をもっと賢く減らそう
高額療養費については、先ほどご紹介した「限度額適用認定証」を医療機関の窓口に提示することで、支払い自体を自己負担限度額に抑えることができます。後から申請して払い戻しを待つ必要がないので、家計の管理がとても楽になります。
出産育児一時金についても、産院によっては「直接支払制度」や「受取代理制度」を利用することで、窓口での支払いをあらかじめ差し引いてもらえます。入院が決まった段階や、出産の予定が近づいたタイミングで、早めに産院のスタッフや保険協会に相談してみましょう。
後から全額払って申請するよりも、手続きがずっとシンプルになります。子育て中で何かと忙しいママにとって、こうした事前の手続きは時間も手間も節約できる、とても賢い選択です。
まとめ
今回ご紹介した健康保険の代表的な現金給付は、次の6つです。
まず、保険証なしで支払った医療費や治療用装具・はり・きゅう・海外での医療費が戻る「療養費」。次に、月の医療費が自己負担限度額を超えた時に使える「高額療養費制度」(限度額適用認定証を使えば窓口負担も軽減できます)。病気やケガで仕事を休んだ時に給与の約3分の2・最長1年6か月受け取れる「傷病手当金」。赤ちゃんが生まれた時に1人につき50万円支給される「出産育児一時金」。産休中の給与が出ない期間を補う「出産手当金」。そして、被保険者が亡くなった時の「埋葬料」、被扶養者が亡くなった時の「家族埋葬料・埋葬費」と「移送費」です。
これらの給付は、自分から申請しないともらえません。そして、いずれも原則2年の時効がある点を忘れないようにしてください。申請書の種類は給付ごとに異なりますが、記入自体はそれほど難しいものではありません。加入している保険協会のホームページや、勤務先の担当者に相談すれば、スムーズに手続きができます。
「知らなかった」「なんとなく面倒だからいいや」と思っていると、本来もらえるはずのお金を受け取れないままになってしまいます。健康保険に加入している以上、使える制度はしっかり活用していきましょう。この記事が、少しでもお役に立てれば嬉しいです。

コメント