一部の政治家が昆虫食を推していますが、なかでも食用のコオロギが話題となっております。
朝日新聞デジタルの記事によると、河野太郎氏はベンチャー企業の発表会で塩コショウで味付けした乾燥コオロギも試食し、次のようにコメントしたといいます。
「おいしかった。抵抗なく、あっさり」
そうはいっても、食用コオロギについては、ネットではかなり反発の声も上がっております。日本にはコオロギを食べる文化はありませんでしたが、いったいどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
コオロギ食のメリットは?
最近になって、「コオロギ食が世界を救う」といって、一部の政治家や企業がアピールするようになってきました。
一体コオロギ食にはどんなメリットがあって、本当に世界を救うのでしょうか。その辺を解説したいと思います。
タンパク源として期待
日本では人口減少が始めっておりますが、世界の人口は増え続けております。このままだと、2050年には肉の消費量は今の1.8倍となり、タンパク源が不足してしまうのではないとか恐れられております。
そこで目がつけられているのがタンパク質を豊富に含む昆虫食です。コオロギの粉末は「60%~70%」がタンパク質でできているといいます。
またコオロギには、カルシウムやマグネシウム、亜鉛、オメガ3なども含まれており、非常に栄養価が優れていて、まさにスーパーフードあるいは万能的なサプリメントといったところでしょう。
生産性が高い
なぜ他の昆虫じゃなくコオロギなの? と疑問に思った方もいるでしょう。もちろん、これには理由があります。
その理由とはコオロギの生産性の高さです。コオロギは雑食で、現在大量に発生して無駄になっている食品ロスの廃棄物をエサにすることができます。エサの量も牛や豚と体重あたりで比較すると、かなり少ない量で済みます。
そのうえ、限られたスペースで高密度で飼育することができ、2~3日間隔で産卵します。一回で50から100個の卵を生むと言われており、生まれてから成長するまで、1ヶ月程度とかなり短時間で生産できるという特徴を持っております。
つまり、他の牧畜、農作物と比較して、圧倒的に効率的に生産できる可能性が秘められております。
環境にやさしい
今日では二酸化炭素などの温室効果ガスが問題となっておりますが、コオロギは体重あたりで比較すると、牛や豚と比べて温室効果ガスの排出量が非常に少ないのが特徴です。
河野太郎氏や小泉進次郎氏といった環境問題に関心の深い政治家が積極的に推進しているのは、この特徴のためだと考えられます。
これらのメリットを考えていくと、コオロギ食推進の背景には「SDGs」があることがわかります。
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。(外務省)
コオロギ食がネットで炎上?
食用のコオロギにはいくつかのメリットがあることは解説してきましたが、そうはいっても皆さん抵抗が大きいようでツイッターなどのネットでは「虫なんて食わせようとするな」などと、かなり炎上しております。
大手メーカーがコオロギの粉末を入れて作った食パンを販売していると広まると、「もうこのメーカーのパンは二度と買わない。」といった具合に、かなり怒っている人も見られます。
昆虫食に否定的なコメントの中でもバズっているのは、タレントのビートきよし氏の次のツイートでした。
「虫食いたい人は食えばいいけど、俺は要らないし、大半の人が要らないって言う虫に補助金出すなら、酪農とか農業を応援すればいいし」
虫食いたい人は食えばいいけど俺は要らないし大半の人が要らないって言う虫に補助金出すなら酪農とか農業を応援すればいいしその前に食べ残しとか食品の廃棄問題を何とかすればいいのにっていうのが俺の感想かな麻雀行ってくるね
— ビートきよし with M (@kiyopon1231) February 25, 2023
政府はコオロギの生産に対して補助金を出しておりますが、これにはご立腹の方も多いようです。
コオロギ食のデメリットは?
コオロギ食にはメリットばかりでデメリットはないのでしょうか。もちろん、あります。
現状ではコストが高い
現状ではコオロギ食は一般的ではなく、需要は少ないといえます。そのため大量生産、大量消費ができないため、生産コストも高いという問題があります。
ただし、コオロギの生産の容易さから、庶民が受け入れて需要さえ高まれば、この辺りのコスト高問題は解決するものと考えられます。
ネットでの炎上などを見ていると、日本国民の多くがコオロギ食を受け入れるのは、ハードルが高い感じがします。
アレルギーの危険性
カニやエビといった甲殻類にはアレルギー反応が出る方もいます。コオロギにもこれらの甲殻類と同じ成分が含まれているので、人によってはアレルギーを引き起こす危険性があります。
もっともカニやエビと同じようにアレルギー体質を持っている方は、コウロギ食を避ければよいだけのことであり、これはそれほど大きな問題とはいえません。
見た目のイメージが悪い
食用コオロギはネットで炎上している原因は、見た目のイメージから来ているものが大きいと思われます。
コオロギの見た目は多くの人にとって、あまりよいとは言えないでしょう。最近では都市ではすっかりコオロギは見ることはなくなりましたが、一瞬ばったりと出会ってしまうと思わずゴキブリと勘違いしてしまう方もいるのではないでしょうか。
生まれてからずっと都会に住んでいる方だと、コオロギを殆ど見たこともないので、ゴキブリと区別すらつかないかもしれません。
人は心理上、どうしても見た目が味に影響してしまいます。たとえ粉末になっていたとしてもコオロギと聞くと、頭の中で生きているものをイメージしてしまう人は多いのではないでしょうか。
これについてですが、エビやシャコ、ナマコといった海の幸も知らない人が始めてみればグロテスクで、食べたいとは到底思わないでしょう。でも普段から食べていて慣れている我々は抵抗なく、これらを美味しく食べることができます。
つまり、見た目については慣れの問題が大きいと思われますが、大の大人がこれからコオロギ食に慣れるというのは、意外とハードルが高い気もします。
天然のコオロギを食べてはいけない?
コオロギが食べられることはわかりましたが、天然のコオロギを採取して食べても良いのでしょうか。結論を言えばそれは危険であり、おすすめできません。
前にも説明しましたが、コオロギは雑食で何でも食べます。つまり、人間にとって毒性のあるものを食べているかも知れません。
細菌や寄生虫がいる恐れもあります。これらの中には加熱処理をしても毒性が消えないものもあり、注意が必要です。
日本では地域によってはイナゴが食べられてきましたが、これはイナゴが雑食ではなく、イネ科の植物を食べることがわかっているからです。
タンパク源のおからが大量廃棄されている?
コオロギ食が推進されている背景として「タンパク源の確保」があると以前に解説しましたが、日本では同じタンパク源のおからが大量に廃棄されているのはご存知でしょうか。
おからというのは、豆腐を作るときに生成される絞りカスのことで、コオロギほどではありませんがタンパク質を多く含んでおります。
おからにはタンパク質の他にも食物繊維、カルシウム、大豆イソフラボンといった栄養素が含まれており、コオロギ同様にすばらしい健康食費のはずです。
ネットでは、コオロギを食べるぐらいなら、大量に廃棄されているおからをもっと食用に利用すればよいのではないかという意見が出ております。
まとめ
ネットで炎上したコオロギ食のメリットやデメリットについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
食用のコオロギには、いろいろとメリットがあって、未来のタンパク源として期待されていることがわかりました。そうはいっても昆虫なんか食べたくないといった人も多いとうのが、ネットでの炎上などを見ているとわかります。
多くの人がコオロギ食を受け入れて需要が高まらなければ、デメリットであるコスト高を克服することができず、日本では一般的にはならないでしょう。
現状、一部の政治家やメディアが昆虫食を推しておりますが、食にこだわりのある日本ではそう簡単には受け入れられない感じもします。
今後は他国でコオロギ食が受け売れられて、安く大量生産できる日が来るかも知れませんが、個人的には日本が即戦して昆虫食を進めていくのはどうかと思います。
日本が即戦すれば、「SDGs」を推している国連にはいい顔ができるかもしれませんが、昆虫食よりも水素やおからの大量廃棄問題といったもっと他のことに補助してほしいところです。
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