水族館のタコの水槽の前で、お子さんから「ねえ、タコって敵が来たらどうするの?」と聞かれたことはありませんか?
「墨を吐いて逃げるんだよ」と答えたものの、「それだけ?」とさらに聞かれて、言葉に詰まってしまった経験がある方も多いかもしれません。
実はタコには、墨以外にも驚くような身の守り方がたくさんあります。「かくれんぼが上手な生き物」で終わらせてしまうのは、とてももったいないです。
この記事では、タコが敵から身を守る方法を、子どもにも伝えやすいたとえ話を交えながらやさしく紹介します。読み終えるころには、水族館や図鑑の時間がぐっと楽しくなり、お子さんから「ママ、物知り!」と言われるかもしれません。
骨のないやわらかい体で、タコはどうやって海を生き抜いているのでしょうか。意外な秘密を、一緒にのぞいてみましょう。
タコが敵に狙われやすいのはなぜ?
タコは賢くて器用な生き物ですが、海の中では「食べられる側」でもあります。まずは、どんな敵に狙われているのか、なぜ身を守る工夫が必要なのかを見ていきましょう。
骨がなくやわらかい体は狙われやすい?
タコの体には、骨がほとんどありません。かたい部分は、口にあるくちばしくらいだと言われています。
やわらかくて栄養たっぷりな体は、海の生き物にとってはごちそうに見えやすいです。たとえるなら、殻のないやわらかいおまんじゅうが、そのまま海に置かれているようなものですよね。
タコの天敵にはどんな生き物がいる?
ウツボやサメ、大きな魚、アザラシ、海鳥などが、タコを狙う生き物として知られています。暮らす場所や種類によって、敵の顔ぶれは変わります。
岩の間にひそむウツボのように、同じ場所で暮らす敵もいれば、空から突然おそってくる鳥もいます。四方八方から狙われると思うと、タコの毎日はハラハラの連続かもしれません。
だから防御の方法がたくさんあるの?
力で戦うのが苦手なタコは、「見つからない」「捕まらない」「追いかけにくくする」という三段構えで身を守っています。
ひとつの方法がだめでも、次の手が使えるように、いくつもの技を組み合わせるのがタコの作戦です。これから紹介する方法を知ると、タコの賢さがよくわかりますよ。
墨を吐くのは本当に目くらましだけ?
タコの身の守り方といえば、まず思いつくのが墨ですよね。ところが、墨にはただ視界をふさぐだけではない、深い役割があると考えられています。
墨で視界をふさいで逃げる
敵に見つかったタコは、墨をぶわっと吐き出して、水の中に黒い雲をつくります。
敵がその雲に気を取られているすきに、タコは素早く泳いで逃げます。お子さんには「海の中の煙幕だよ」と伝えると、イメージしやすいです。忍者が煙玉を投げて逃げる場面にそっくりですよね。
墨のかたまりがタコの分身になる?
タコが墨を広げずに、ひとかたまりのまま出すことがあります。すると、そのかたまりがタコの身代わりのように見えると考えられています。
敵が黒いかたまりを追いかけている間に、本物のタコは別の方向へ逃げていきます。まるで、ぬいぐるみを置いてこっそり抜け出す、おとり作戦のようです。
墨の成分が敵の鼻をにぶらせる?
タコの墨には、敵の感覚をじゃまする成分が含まれていると言われています。ウツボのようににおいを頼りに獲物を探す生き物には、効き目があるのかもしれません。
見た目で目をくらませるだけでなく、においの手がかりも消してしまうとしたら、とても念入りな作戦です。墨は、タコにとって大切な切り札のひとつなんですね。
色も形も変わる!擬態の達人ワザとは?
墨を使うのは、敵に見つかってしまったあとの作戦です。でも本当のタコの得意技は、そもそも見つからないようにすることかもしれません。
皮ふの色を一瞬で変える仕組み
タコの皮ふには、色のもとが入った小さな袋がたくさんあります。この袋が広がったり縮んだりすることで、ほんの一瞬で体の色が変わります。
岩の上では岩の色に、海藻のそばでは海藻のような色に変わります。お子さんの色えんぴつがひとりでに色を変えるようなものだと思うと、びっくりしますよね。
ゴツゴツ変身でまわりに溶け込む
タコは色だけでなく、皮ふの手ざわりまで変えられます。皮ふをぷくっと盛り上げて、ゴツゴツした岩のような見た目になることもあります。
色と形の両方をまわりに合わせるので、じっとしているタコを見つけるのは、大人でも大変です。水族館で「どこにいるの?」と親子で探してみると、盛り上がりますよ。
ほかの生き物になりきるミミックオクトパス
ミミックオクトパスという種類のタコは、ほかの生き物のまねをすることで知られています。毒のある魚やウミヘビのような姿に変身する、と紹介されることもあります。
敵からすると「あれは危ない生き物かも」と思って近づきにくくなります。強い相手になりきって身を守るなんて、まるでヒーローごっこをする子どものようで、ほほえましいですよね。
狭い場所に隠れて素早く逃げる!体を使った防御術とは?
色を変えても見つかってしまったときは、体そのものを使った方法の出番です。やわらかい体だからこそできる、タコならではの技を紹介します。
小さなすき間にもスルッと入りこむ
タコは体にかたい骨がないので、くちばしが通るくらいのすき間があれば、体を通せると言われています。
大きなタコが小さな穴にするりと入る様子は、まるで体がお水になったようです。岩の割れ目やツボの中に入りこめば、体の大きな敵は追いかけられません。
石や貝殻、ココナッツで守りをかためる
タコは住みかの入口に石を積んで、ふたのように使うことがあります。さらに、ココナッツオクトパスという種類は、半分に割れたココナッツの殻を持ち運んで、ピンチのときにかぶります。
持ち歩ける家のような使い方で、まるで小さな子どもが段ボール箱に入って遊ぶ秘密基地のようです。道具を使う生き物として、タコが注目される理由のひとつです。
ジェット噴射で一気に逃げる
タコは体にためた水を、漏斗(ろうと)という筒から勢いよく吹き出して、ジェットのように進むことができます。
ふだんは足を使ってゆっくり歩くタコですが、ピンチのときはロケットのように後ろへ飛び出します。そのときに墨を一緒に吐けば、逃げる姿をさらに見えにくくできます。
足を切り離して逃げることもある?
種類によっては、敵につかまれたときに自分の足を切り離して逃げることがあると言われています。切れた足が動き続けて、敵の注意を引くこともあるようです。
トカゲがしっぽを切って逃げるのと似ていますよね。タコの足は、時間をかけて再生することも知られています。大切な命を守るための、思い切った作戦です。
毒や威嚇で敵を追い払う!意外な作戦とは?
逃げたり隠れたりするだけがタコの作戦ではありません。ときには相手をびっくりさせたり、毒を使ったりして、敵のほうを遠ざけることもあります。
急に大きく見せてびっくりさせる
タコは敵に近づかれると、体の色を急に変えたり、足を広げて体を大きく見せたりすることがあります。目玉のような模様を浮かび上がらせる種類もいます。
突然のことに驚いた敵が一瞬ひるんだすきに、タコは逃げ出します。お子さんが「わっ!」とおどかして、きょうだいを驚かせるような作戦ですね。
ヒョウモンダコは毒で身を守る
ヒョウモンダコは、青い輪の模様が目立つ小さなタコで、強い毒を持つことで知られています。ふだんは地味な色ですが、危険を感じると鮮やかな青い輪が浮かび上がります。
この模様は「近づくと危ないよ」という警告のサインだと考えられています。日本の海にもいるため、見つけても素手で触らないよう、お子さんにも伝えておきたいですね。
賢さと記憶力も大きな武器
タコは神経細胞が多く、とても賢い生き物と言われています。危険な相手や場所を覚えて、次から避けることもあるようです。
「あの場所は危なかったから、もう行かない」と学べるのは、身を守るうえで大きな強みです。墨や擬態などの技を、状況に合わせて選んで使えるのも、賢さがあるからこそなんですね。
親子で楽しもう!タコの身を守る方法を観察するコツとは?
ここまで読むと、実際にタコを観察してみたくなりますよね。水族館や図鑑、磯遊びなど、親子で楽しめる観察のコツを紹介します。
水族館では「隠れ上手」を探してみよう
水族館のタコは、水槽の岩や壁にぴったり溶け込んでいることがよくあります。まずは「どこにいるかな?」と親子で探してみましょう。
見つけたら、じっくり観察してみてください。色がゆっくり変わったり、皮ふがゴツゴツしたりする瞬間に出会えるかもしれません。飼育員さんの解説やエサの時間をチェックするのもおすすめです。
図鑑で調べると「なんで?」が解決しやすい
水族館から帰ってきたら、図鑑でタコのページを一緒に開いてみましょう。見てきた生き物と写真を見比べると、記憶に残りやすくなります。
ミミックオクトパスやヒョウモンダコのように、水族館ではなかなか会えない種類も、図鑑ならじっくり眺められます。
親子で楽しめるおすすめの図鑑
水の生き物をまとめて調べられる図鑑が1冊あると、お子さんの「なんで?」にすぐ答えられて便利です。
小学館の図鑑NEOの水の生き物は、写真が大きくて、海や川の生き物を幅広くのせているので、タコ以外の生き物にも興味が広がりやすいです。読み物としても楽しめるので、小学生のお子さんにぴったりです。
もう少しお子さんが楽しめる工夫のある図鑑がいいなら、学研の図鑑LIVEの水の生き物も人気です。写真やイラストが見やすく、調べ学習や自由研究にも役立てやすいです。
磯遊びでは安全にタコの暮らしをのぞいてみよう
夏の磯遊びでは、潮だまりの岩かげに小さなタコが隠れていることがあります。ただし、岩場はぬれていて滑りやすく、とがった貝殻やフジツボもたくさんあります。
見つけたタコを無理に捕まえたり、ヒョウモンダコのような毒のある生き物に触ったりしないように、お子さんと約束しておきましょう。観察は「見るだけ」が基本です。
磯遊びであると便利なアイテム
岩場を歩くなら、足をしっかり守れるマリンシューズがあると安心です。
キッズ用のマリンシューズは、底が滑りにくく、水がぬけやすい作りのものが多いので、ぬれた岩場でも歩きやすいです。サンダルよりもかかとが固定されるので、お子さんも元気に動き回れます。
さらに、水の中をのぞくための水中メガネがあると、潮だまりの観察がぐっと楽しくなります。くもり止め加工のあるキッズ用なら、お子さんでもはっきり見えるのでおすすめです。
よくある質問
タコの身の守り方について、お子さんからよく聞かれそうな疑問をまとめました。会話のきっかけとして、ぜひ使ってみてくださいね。
タコは墨を何回でも吐けるの?
何回も吐くことはできますが、一度にためておける量には限りがあると言われています。吐いたあとは、時間をかけて少しずつ墨がたまっていくと考えられています。
そのため、タコは墨だけに頼らず、擬態や隠れる作戦も使い分けているんですね。
タコの墨とイカの墨は同じものなの?
タコの墨は水の中でぶわっと広がりやすく、イカの墨は粘りけがあってかたまりになりやすいと言われています。
ただし、種類や状況によって違いがあるので、一概には言えません。水族館や図鑑でイカとタコの違いを比べてみるのも楽しいですよ。
タコは本当に何色にでも変われるの?
赤や茶色、白、黒など、さまざまな色に変わることができますが、何色にでもというわけではありません。タコの皮ふにある色のもとの種類には限りがあると言われています。
それでも、まわりの景色に合わせて自然に変われる技術はとても高く、「擬態の名人」と呼ばれています。
タコは毒を持っているの?
ほとんどのタコは、獲物をつかまえるときに使う弱い毒を持っていると言われています。ただし、人にとって危険なほど強い毒を持つのは、ヒョウモンダコなど一部の種類です。
磯で見つけたら、触らずに離れて観察するようお子さんに伝えておきましょう。
タコの足が切れたらどうなるの?
種類によっては、切れた足が時間をかけて再生することが知られています。ただし、再生にはエネルギーが必要なので、タコにとって負担にもなります。
足を失うリスクを避けるためにも、墨や擬態など、できるだけ傷つかない方法で身を守っているのかもしれません。
子どもが磯でタコを見つけたら触ってもいいの?
基本的には触らず、見るだけにするのがおすすめです。タコにとってはストレスになりますし、毒のある種類だと危険です。
地域によっては採取のルールが決められている場所もあります。観察のあとは、必ず元の場所にそっとしておきましょう。
まとめ
タコはやわらかい体を持つ生き物なので、海の中では狙われやすい存在です。そのため、墨を吐く以外にも、たくさんの方法で身を守っています。
色や形を変える擬態、すき間への隠れ家づくり、ジェット噴射での逃走、毒や威嚇まで、まさに身を守る技のデパートです。ひとつの方法に頼らず、状況に合わせて使い分ける賢さも、タコの大きな魅力ですよね。
次に水族館へ行くときは、「どこに隠れているかな?」「いまは何の作戦中かな?」と、親子で探してみてください。見えている世界がきっと変わります。
図鑑や磯遊びの時間も、お子さんの好奇心を広げる大切なチャンスです。今回紹介したアイテムも参考にしながら、ぜひ親子でタコの不思議な世界を楽しんでくださいね。

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