「コククジラって何を食べるの?」と子どもに聞かれて、思わず答えに詰まってしまったことはありませんか?
図鑑を開いても「底生生物を食べる」としか書いておらず、結局よくわからないまま…なんて経験、けっこうあるあるだと思います。
コククジラは、クジラの中でもちょっと変わった食べ方をする、とてもユニークな生き物です。
「海の底の掃除屋さん」なんて呼ばれることもあるくらい、他のクジラとはひと味違う食生活を送っています。
この記事では、コククジラが何を食べるのか、どうやって食べるのか、そして食べるためにどんな不思議な旅をしているのかをわかりやすく解説します。
お子さんに「なんで?」「どうして?」と聞かれたときに自信を持って答えられるようになりますよ。
読み終わるころには、コククジラのことがもっと好きになっているはずです。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
コククジラが何を食べるのか知っていますか?
コククジラは「ヒゲクジラ」というグループに属するクジラです。
歯を持たず、口の中にブラシのような「ひげ板」がたくさん並んでいて、これを使って食べ物をこし取るようにして食べます。
同じヒゲクジラでも、シロナガスクジラやザトウクジラはおもに海の中を泳ぐオキアミや小魚を食べます。
ところがコククジラは、海の底にいる生き物を食べるという、ちょっと珍しい食べ方をします。
主食は海底にいる小さな生き物
コククジラが好んで食べるのは、海の底の砂や泥の中にいる「端脚類(たんきゃくるい)」という小さな生き物です。
エビに似た、数センチほどのとても小さな生き物で、英語では「アンフィポッド」とも呼ばれています。
見た目はちょっと地味ですが、コククジラにとっては大切なごちそうです。
海底の砂ごと吸い込む豪快な食べ方
コククジラの食べ方はとてもダイナミックです。
海底に横向きに体を倒し、口を砂に押し付けて、砂ごと吸い込んでしまいます。
そしてひげ板でこし取るようにして、砂だけを外に出して、中の生き物だけを食べます。
この食べ方のせいで、コククジラの口の周りはいつもすり傷だらけです。
特に右側を下にして食べる個体が多いため、右側の傷が多くなる傾向があります。
海底に残る「食べたあと」
コククジラが食事をした後の海底には、くぼんだ穴がいくつも残ります。
まるでだれかがスプーンで海底をすくったような形の跡が残るため、研究者はこれを見てコククジラが来たことを確認することもあります。
一頭のコククジラが残した跡が何百個にもなることがあり、それだけたくさん食べているのだとわかります。
コククジラはどこで食事をするの?
コククジラは一年中ずっと同じ場所にいるわけではありません。
食事をする場所と、子どもを産む場所が遠く離れており、季節によって長い旅をする生き物です。
夏は北の海でたっぷり食べる
コククジラの主な食事場所は、北太平洋の北のほうにある冷たい海です。
アメリカやロシアの沿岸にある、ベーリング海やチャクチ海などが有名な食事場所です。
夏になると、この冷たい海に大量の端脚類が発生するため、コククジラはここで一年分の栄養を蓄えます。
冬は南の暖かい海で子育て
夏に食べだめをしたコククジラは、秋になると暖かい南の海へ向けて旅を始めます。
メキシコのバハカリフォルニア半島にある浅い入り江が有名な越冬地で、ここで子どもを産んで育てます。
冬の間はほとんど食事をせず、夏に蓄えた脂肪を使って生活します。
往復1万キロ以上の大旅行
コククジラの旅の距離は、往復で2万キロを超えることもあります。
これは哺乳類の中でも最長レベルの移動距離のひとつです。
食べるためにこれほどの距離を移動する生き物は、自然界でもなかなかいません。
お子さんに「どのくらい遠いの?」と聞かれたら「地球を半周するくらいの距離」と教えてあげると伝わりやすいですよ。
なぜコククジラは「掃除屋さん」と呼ばれるの?
コククジラが「海の底の掃除屋さん」と呼ばれるのには、ちゃんとした理由があります。
ただ食べているだけなのに、海の環境に大きな貢献をしているのです。
海底をかき混ぜることで栄養が広がる
コククジラが海底の砂を吸い込む食べ方をすると、砂の中に眠っていた栄養分が海の水の中に放出されます。
この栄養分は、植物プランクトンの成長を助け、海の生き物全体の食物連鎖を支える大切な役割を持っています。
コククジラが食事をするたびに、海の底から栄養が循環する仕組みが生まれているのです。
食べ残しが他の生き物のエサになる
コククジラが食事をした後のくぼみには、砂の中から出てきた小さな生き物がたくさん残ります。
魚や海鳥がコククジラの後をついていき、食べ残しを狙うことがよくあります。
コククジラが食事をすることで、周りの生き物たちもごはんにありつけるというわけです。
排泄物が海の肥料になる
コククジラのフンは、海の中の植物プランクトンにとってとても良い肥料になります。
大型のクジラが排泄をすると、その周辺の海が豊かになる仕組みは「鯨ポンプ」とも呼ばれており、研究者の間で注目されています。
食べることで海を豊かにする、コククジラはまさに海の中の縁の下の力持ちです。
コククジラの食生活にまつわる驚きの事実
コククジラの食べ物や食べ方をもっとよく知ると、さらに面白い事実がいくつも出てきます。
お子さんと一緒に「へー!」と驚いていただける内容を集めました。
赤ちゃんはお母さんのお乳だけで育つ
生まれたばかりの赤ちゃんコククジラは、最初の数ヶ月はお母さんのお乳だけを飲んで育ちます。
クジラのお乳は人間のものと違ってとても濃く、脂肪分がたっぷり含まれています。
赤ちゃんは一日に何十キロも体重が増えることがあり、みるみる大きくなっていきます。
大人になるまでほとんど食べない時期がある
越冬地のメキシコ沿岸では、コククジラは食事をほとんどしません。
長い旅の途中も食事の機会は限られており、夏の間に蓄えた脂肪がエネルギー源になります。
一年の半分近くを、ほぼ何も食べずに過ごすというのは、なかなか想像できないことですよね。
年をとると食べる量が変わることも
コククジラは年をとると、食べる量や食べる場所に変化が見られることがあります。
近年の研究では、気候変動による海水温の変化が、コククジラのエサとなる端脚類の分布に影響を与えていることも報告されています。
コククジラの食生活は、地球環境とも深く結びついているのです。
コククジラを観察できる場所はあるの?
「実際にコククジラを見てみたい!」というご家族も多いのではないでしょうか。
コククジラは移動中に沿岸を通ることが多く、ホエールウォッチングで観察しやすいクジラのひとつです。
日本でも見られることがある
コククジラは太平洋を移動する際に、日本の沿岸を通ることもあります。
特に春と秋の移動シーズンには、三陸沖や北海道沿岸などで目撃情報が上がることがあります。
日本でのホエールウォッチングツアーでは、遭遇できる確率は高くありませんが、見られたらとてもラッキーです。
メキシコのバハカリフォルニアが有名
コククジラのホエールウォッチングで世界的に有名なのが、メキシコのバハカリフォルニア半島にあるラグーンです。
冬のシーズンにはたくさんのコククジラが集まり、ボートに近づいてきて人間に触らせてくれることもあります。
「フレンドリーな個体」と呼ばれるコククジラが有名で、世界中から観光客が訪れます。
ホエールウォッチングに行くなら準備が大切
ホエールウォッチングは長時間船に乗ることが多く、海風が意外と冷たい場合があります。
風を防ぐアウターや、日差しを遮る帽子があるととても便利です。
子どもが船酔いしやすい場合は、乗船前に酔い止めを使うと安心ですね。
あると便利なアイテム
防風・防寒に優れたアウターはホエールウォッチングの必需品です。
コンパクトに折りたためるウィンドブレーカーは荷物にもならずおすすめです。
双眼鏡があると、遠くにいるクジラもはっきり見えて楽しさが倍増します。
よくある質問
コククジラについてのご質問は、お子さんだけでなくママからもよく寄せられます。
ここでは特によく聞かれる疑問を集めてお答えします。調べ物のお供にどうぞ。
コククジラは魚を食べないのですか?
コククジラの主食は海底にいる端脚類という小さな生き物で、魚はほとんど食べません。
同じクジラでも、マッコウクジラのように深海でイカを狙うものや、シャチのように魚や海獣を食べるものもいますが、コククジラは海底の砂の中にいる生き物を専門に食べる珍しいタイプです。
海底をこそいで食べるという独特のスタイルが、コククジラを他のクジラと大きく区別しています。
コククジラは一日にどのくらい食べますか?
夏の食事シーズンには、一頭のコククジラが一日に数百キログラムの端脚類を食べることがあると言われています。
これだけたくさん食べて脂肪として蓄え、食事できない冬の期間や長い旅の間のエネルギーにしています。
体の大きさから考えると、一日の食事量の多さに驚かされます。
コククジラはどのくらいの大きさになりますか?
成長したコククジラは、体長が12メートルから15メートルほどになります。
体重は30トンから40トンほどで、これはゾウ約6頭から8頭分に相当します。
大きな体を維持するためにも、夏の間にしっかり食べておく必要があるのですね。
コククジラはなぜ右側だけで食べることが多いのですか?
コククジラが右側を下にして食べることが多いのは、習慣によるものと考えられています。
人間にも右利きや左利きがあるように、コククジラにも「食べやすい向き」があるようです。
右側で食べる個体が多いため、口の右側のひげ板がすり減っていたり、右頬に傷が多かったりすることが観察されています。
コククジラは絶滅の心配はありますか?
かつてコククジラは大規模な捕鯨によって数を大きく減らした時期がありました。
しかしその後の保護活動によって個体数は回復し、現在の東太平洋に生息するコククジラは比較的安定した個体数を保っています。
一方で、西太平洋のグループは個体数が少なく引き続き保護が必要な状態です。また近年は気候変動によるエサ場の変化も懸念されています。
まとめ
コククジラが何を食べるか、おわかりいただけましたか?
今回の記事のポイントをまとめてみましょう。
コククジラの主食は、海底の砂の中にいる「端脚類」という小さな生き物です。
他のクジラのように海の中を泳ぐ魚やオキアミを食べるのではなく、海底に体を横倒しにして砂ごと吸い込み、ひげ板でこし取るという独特の食べ方をします。
この食べ方のおかげで、海底の砂がかき混ぜられて栄養が循環し、他の海の生き物にも恩恵をもたらします。
「海の底の掃除屋さん」というニックネームは、このような海の環境への貢献から来ているのです。
また、コククジラは夏の間に北の冷たい海でたっぷりと食べ物を蓄え、冬には暖かい南の海へ子育てのために旅をします。
その往復距離は2万キロを超えることもあり、哺乳類の中でも指折りの長距離移動者です。
食べることで生き、旅することで命をつなぐコククジラの姿は、子どもたちに生き物の不思議と自然の大切さを伝えるのにぴったりの題材だと思います。
「クジラってすごいね」「海って面白いね」と、親子で話すきっかけになれば嬉しいです。
もしホエールウォッチングへ行く機会があれば、この記事で学んだことを思い出しながら、コククジラの食べ方や傷のあとを探してみてくださいね。

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